チェロの起源
ヴァイオリンの仲間
ヴァイオリン族は羊の腸で弦を張って、馬の尻尾に松やにをぬって、弦を引掻いて音を出す仕組みの擦弦楽器です。
この楽器の起源に関しては、中央アジアだと言う説があります。中国には胡弓として残っているものです。
他の説では、エジプト、インド、アラビヤと様々ですが、いずれにしても羊と馬が重要な存在です。
この擦弦楽器はヨーロッパへ伝わって、歴史に出現するのは12世紀後半から13世紀にかけてになります。
さらに、絵画や彫刻などにあらわれるのは、15〜16世紀になってからだそうです。
楽器の複雑化は同じメロディーを弾くのではなく、協和音を合わせる演奏が発達したことによります。
メロディーのラインにおいて、バスや、アルトなどのが演奏できる楽器が考案されていったわけです。
チェロの歴史
チェロの直系の祖先は、ルネサンスからバロック時代にかけてに活躍した、ヴィオラ・ダ・ガンバという楽器だそうです。
現在のチェロとくらべると音量も小さく音色は繊細で柔らかく、変化に乏しい楽器だったそうです。今のチェロとは少し形が違います。指板にフレットがあります。
まだヴィオール族の楽器が全盛期の頃、ヴァイオリンが考案されました。それから19世紀ころまでに何十種類もの楽器が考案されたと言われています。
ヴァイオリン族の中でヴィオラ・ダ・ガンバの音域の楽器が「小さなヴィオローネ」という意味のヴィオロンチーノがなまってヴィオロンチェロ=Violoncelloという現在のチェロの正式名称になったということです。
ヴァイオリン族とヴィオール族の違い
ヴィオール族に対して、ヴァイオリン族はいくつかの違いがあります。
一番わかりやすいのは、弦が4本で、 形を統一、うすい木の板でも弦の強さに耐えられる形にしました。そして、サウンドポストをつけて、共鳴を活かすことができたことです。
そのほかにも、表板の響口をfの字にしたり、 裏板に膨らみを持たせたりしました。
ニコラ・アマティのチェロ
最初のチェロは、ガスパロ・ディ・ベルティロッティという人の作品です。その後、ヴァイオリンの名工が現れ、チェロの名作もたくさん作られます。
イタリアのクレモナにいたニコラ・アマティ、その弟子のアントニオ・ストラディバリ、ガルネリ一族、ガダニーニなどが有名です。
ほかにもやベルゴンツィやモンタニアーナ、テストーレ、ガリアーノといった名工の作品があります。
チェロの原理
チェロとヴァイオリンの違い
最大の違いは楽器の大きさですが、演奏する際の構え方も違います。
ヴァイオリンは全長約60cmですが、チェロは全長約120cmと約2倍の大きさです。
ヴァイオリンはあごに挟んで演奏するのに対して、チェロはエンドピンで立てて膝で挟みながら演奏します。
また弓の長さは、実は、ヴァイオリンの弓よりもチェロの弓の方が短いのです。ただし、太さはチェロの方が少し太くなっています。
チェロの特徴と役割
オーケストラでのチェロの役割
チェロは落ち着いた低音を出すことができます。
オーケストラやアンサンブルで、音楽のバランスを取るための重要な役割を持ちます。
また独奏楽器としての表現力も豊かで、エネルギーに溢れた演奏を見せてくれます。
弦楽四重奏や弦楽五重奏、ピアノ三重奏では低音部を受け持ちます。